うちの美人モデル


うちの美人モデル


「写真を撮りますよ。はーい、こっち向いてみましょうね」

 僕は携帯を構えて、うちの猫に近づいた。
 横になってリラックスしていたうちの猫は、

「なによ?」

 とすこし警戒した表情を見せた。

「大丈夫ですからねー。いつも通りかわいくしてましょうねー」

 と言いながら画面を見て調整していると、うちの猫はぷいっとそっぽを向いた。

「あ……角度が変わると困るんですよ。こっち向きたくないですか? ……じゃあ、そっちから撮りますね」

 僕が移動すると、また、うちの猫がぷいっとそっぽを向いた。
 どうしてもカメラのほうを見ようとしない。

「……もしかして、カメラ嫌いですか?」

 これから撮られるということがわかっているかのような態度だった。
 しばらく待ってみても、うちの猫はそっぽを向いたままだ。

「カメラとか、わかるはずないですよね……?」

 仕方なく、横顔を撮ることにした。

 パシャッ。

 シャッターの音に、耳だけが反応していた。
 様子をうかがうように、ぴくぴくと動いている。
 こちらを向くのかな? と待ち構えていたけれど、結局カメラのほうを向くことはなかった。

 ゴロゴロゴロ。

 そっぽを向いたままでのどを鳴らしている。

「嫌なのかうれしいのかよくわかりませんね……?」

 なんとか顔の向きを変えようとしても、うまくいかない。
 手で押さえて無理やり動かそうとしたせいで、爪を立てられてしまった。

「うっとおしいわね」

 というようにぶんっぶんっとしっぽを振って、うちの猫がうなりながら歩き出す。
 そのまま庭に行ってしまうのかと思ったら、すぐに床に寝転んだ。
 一メートルも歩いていない。
 僕に背を向けて、耳だけがこちらを向いていた。
 これは――。

「やっぱりちょっと撮ってほしいんじゃないですか……?」

 そのまま待っていたら、背中を向けたまま、ちいさくのどを鳴らしていた。


 別の日に、庭にいるうちの猫を見かけて、慌てて携帯を取り出した。

 ――外で元気よく遊んでいる姿も撮りたいですよね。

 ちょっとしたカメラマン気分だ。
 トコトコと歩くうちの猫を追いかけながら、カメラの準備をする。
 うちの猫がボスを見つけた。

 ――ああっ、いつものやつですね。決定的瞬間ですよ!

 どのボタンを押せばいいのか確認して、カメラを構えようとするあいだに、うちの猫はボスを叩いて去ってしまった。
 まったく間に合わない。

 ――動いている動物を撮るのって、こんなに難しいんですね……。

 普段写真を撮らない僕には新鮮な発見だった。


 何度か撮るうちに、うちの猫もカメラに慣れてきたみたいだ。
 ときどき澄ました顔をカメラに向けてくれる。
 自然体のいつものかわいさではないけれど……。

 ――それよりも、まずはカメラの腕を磨くところからですね。

 ちょっとあくびをして、ぱちぱちと瞬きをしながらポーズをとるうちの猫に向けて、パシャリとシャッターを押した。

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小説家になろうに、猫のエッセイを投稿しています。
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うちのかわいいかわいい猫
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