うちのめざしパーティー


うちのめざしパーティー


 ――なんですか、これは……。

 庭に奇妙な物体が落ちていた。
 10センチほどの長さ。
 黒い棒のようにも見える。
 それが、7、8本。
 庭に落ちているはずのないものだった。
 しゃがんで確認するが、間違いない。

 ――なんでこんなところに……これは……!

 なかなか立派なめざしだった。


「ニャン!」

 と声がした。
 ボスが僕を見つめている。
 いつもよりもテンションが高いようだ。
 自信にあふれている気がするし、なにかをやりとげたような表情にも見えた。

「あの……犯人ですよね?」

 ボスの足元にはめざしの残骸が落ちていた。
 たぶん頭だろう。

 すこし離れたところでは、ポッチャリがくつろいでいる。

「えーとですね、これ、泥棒しましたよね」

「ニャン!」

 こんなに大量のめざしをまるごと捨てるわけはない。
 エサとしてもらうにしても、多すぎる。
 どうやって手に入れたのかはわからないけれど、まっとうな方法ではなさそうだった。

「こんなに派手に盗んだら、問題になりますよ?」

「ニャン!」

「しかも、なんでうちの庭に持ってきちゃうんですか……」

 これではめざし盗難事件にうちが関わっていると思われてしまう。
 
 ――どうすればいいだろう……。

 大量のめざしを前にして、途方にくれてしまった。

 よく見ると、ポッチャリの周りにもめざしの残骸が落ちている。
 二匹で食べて、まだあまっているらしい。
 しかも、もう食べられないようだ。
 二匹ともめざしを口にしようとしない。

 ――これってもしかして……。
 
 と僕は思った。
 ちょうどそのとき、うちの猫がトコトコと近づいてきた。
 めざしを見つけて、怪訝そうな顔でにおいをかいでいる。
 しばらくかいでから、ふんっと鼻を鳴らして顔を背けた。

 ――やっぱりそうなりますよね。せっかく持ってきたみたいだけど、うちの子は食べないですよ……。残念ですね……。

 ボスはあいかわらずやりとげた顔をしている。
 うちの猫は「ニャウ」と声をかけて、家に帰っていった。

「あれ……普通にあいさつしましたね? めざし効果ですか?」

「ニャン!」

「まあいいですけど、めざしについては当局は一切関知しないですからね。自分でなんとかしてください」

「ニャン!」

 どうしていいのかわからなかったので、とりあえずその日は放置することにした。


 次の朝。

 ――あれだけあったのになくなりましたか。

 わずかに残骸が残っているだけで、めざしは跡形もなく消えてしまっていた。
 夜中にボスやポッチャリ、それにサビ猫や靴下猫、ドリフ猫が集まって、めざしパーティーをしたのかもしれない。

 ――もしそうだったら、ちょっと参加したかったですね……。

 あるいは庭に大量のめざしがあったのは、僕が見た夢だったのかもしれない。
 そんなことを考えながら、僕はほうきでめざしの残骸を片付けていた。

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