うちのかしこい近所迷惑


うちのかしこい近所迷惑


 突然、ドタバタと暴れる音が聞こえる。
 気にせずに放っておいてみる。
 すると、閉まっていたはずのドアが勝手に開く。
 僕は触っていない。
 うちの猫が開けたのだ。
 ドアのすきまから、うちの猫がきりっとした表情で入ってくる。

「ドアを開けるくらい、私ならできて当然よね」

 という顔だ。
 以前から、たまに自力でドアを開けることはあったのだけど、最近コツをつかんだようだ。
 頻繁にドアを開けている姿を見かける。

 うちのドアは、ノブの部分が平らなレバーのようになっている。
 飛びついて、このレバーの部分を押し下げれば、猫でも開けることができるのだ。
 とはいえ、自分でドアを開けることができるのはたいしたものだと思う。
 もしかしたら、うちの猫はすごくかしこいのかもしれない。

 ドアを開けようとするとき、レバーに何度も飛びつくので、かなり騒がしくなる。
 これだけはなんとかしてほしいと思う。  


 真夜中。
 寝ていた僕は、何かの気配を感じた。

 ゴロゴロゴロ。

 音が聞こえる。
 僕はほとんど寝ている状態で、目も開いていない。
 ほんのわずか、意識があるだけだ。
 湿った感触が、僕の顔の周りで動いていた。

 ――この感触は……うちの猫の鼻……?

「フゥン」とちいさく鳴いている。
 念入りに僕の顔のにおいをかいでいるようだ。
 いつまでも顔の周りで動いている。
 うちの猫がこんなことするだろうか、と思う。
 普段、こんなことはしない。

 ――これは……夢ですか?

 そのまま僕はまた眠りについた。


 ドタン、ガシャン。

 どこかで音が聞こえて、目が覚めた。
 うちの猫がドアを開けようとしている音だ。
 なかなかうまくいかないようで、ずっと続いている。
 まだ窓の外は暗い。
 なんとかメガネを探しだして、僕はいそいで音のほうへ向かった。
 このまま騒がしくしていると、近所迷惑になってしまう。

 うちの猫は玄関のドアの前にいた。
 ドアノブに飛びついて開けようとしている。

「ああ、ここのドアは無理ですよ……。鍵がかかっていますから、さすがに猫には開けられませんよ……」

 なだめようとしても「ふぅーん、ふぅーん」と落ち着かないようすだったので、外に出すことにした。
 
「まだ太陽も出てないじゃないですか……。こんな時間から遊びたいんですか? 気をつけてください」

 と見送ると、遠くのほうでバイクの走る音がした。
 たぶん新聞配達のバイクだ。
 うちの猫がトコトコトコと音のほうへ歩いていく。

 ――新聞配達が気になるんですか? そういう時期はありますよね……。走っているバイクには近づかないでくださいね。

 心のなかでそう声をかけて、玄関の鍵をかける。
 すぐにベッドへ向かった。
 眠くてたまらなかったのだ。

 ――そういえば、においをかいでいたあれは夢だったんでしょうか……? 新聞配達が気になって早起きをしてみたり、最近やたらかわいいですね……。

 そう考えながら眠りについた。


 翌日、また僕は早起きをすることになった。
 うちの猫が玄関で騒いでいるのだ。
 ドアを開けられるはずと思い込んでいるから、いつまでもドタバタ音をたてているし、あきらめないし、放っておくと近所迷惑になるし、結局僕が飛び起きてドアを開けてやるしかない。
 
 ――これは、新聞配達に飽きるまで続くんですね……。そういうパターンですね……。

 騒いでいれば、僕を起こすことになる。
 いままでもそういうことは何回かあった。
 もしかすると、起こしてしまうことはちゃんとわかっていて、顔のにおいをかいでいたのは僕の機嫌を確認するためだったのかもしれない。

 ――ドアを開けるくらい、別にいいんですけど……。

 普段もあのときのように顔のにおいをかいでほしいかな、と僕は思った。

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小説家になろうに、猫のエッセイを投稿しています。
かわいいです。
うちのかわいいかわいい猫
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アルファポリスでは、ファンタジーの連載を初めてみました。
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