うちの全員集合


うちの全員集合


 僕が玄関を出ると、

「ニャアアン」

 と鳴きながら、ボスが歩いてきた。
 なんだかかわいい声で、いつもと雰囲気が違う。
 ちょっとテンションが高いような気もする。
 短めのシッポも上を向いている。

「うーん? どうかしました……えっえっ、ちょっと見せてください」

 ボスの首をガシッと捕まえて、その顔をのぞきこむ。
 見ると、怪我はもうほとんど治っていた。
 腫れもなくなって、軽く引っ掻いたのかな、という程度の傷だけになっている。

「ニャウン?」

 なんだかボスは誇らしげな顔をしていた。

「あはっ、もうほとんど良くなりましたね! えー、治るのはやいですね。このあいだまで腫れてたのに!」

 良かったですねー、と言いながら、ボスを地面に転がして撫でまわした。
 するとボスは、「フゴ、フゴフゴッ」と喜んでいるのか苦しんでいるのかわからない声を出していた。
 逃げないから、たぶん喜んでいるのだろう。
 そんな様子を、近くの庭石の上からシマシマシッポが眺めている。
 座って見ているが、落ち着かないようだ。
 からだをモゾモゾと動かしていた。
 ついに飛び降りて、トトトッとボスのそばへ駆け寄ると、後ろ足で立ち上がった。
 そして前足の先でぺしぺしとボスのシッポを触っていた。

 ――器用ですけど、それはどういう感情でやってるんですか……? 何の行動です?

 とにかく祝っているような雰囲気ではある。
 騒いでいる声が聞こえたのか、うちの猫もやってきた。
 少し離れたところでぺたりと横になる。
 ボスを見ても、パンチをする様子はない。
 今日はパンチをする気分ではないようだ。
 これも祝っているのかもしれない。

 ――これ以上近づく様子もないですけど……。
 
 シマシマシッポは、うちの猫のことも気になるようだ。
 また庭石の上に登り、そこからジャンプして、うちの猫の目の前に着地する。
 そのまま鼻をうちの猫の顔に近づけようとする。
 うちの猫はからだを震わせて、「クワー!」という全力の威嚇でそれに応えていた。
 慌てて逃げて、そろそろと戻ってきて、庭石のうえに座る。
 そこでシマシマシッポが動かなくなる。
 三匹が、それぞれ1メートルから2メートルの距離で落ち着いた。
 しばらく見ていても、動きはない。

 ――ちょっと遠いですけど、猫にはこれくらいの距離がちょうどいいんでしょうか?

 猫たちが三匹集まっているのを見かけることは少ない。
 特にうちの猫がこんな風に落ち着いているのは珍しい。
 なんとなく、いい雰囲気になっているようなきがした。
 猫同士の静かな交流だ。

 ――僕がいると邪魔かもしれませんね。

「今日はゆっくりボスの快気祝いをしてあげてくださいね」

 そう言って、うちの猫のおでこをつついて家に戻ることにした。




「ゆっくりとは言いました……」

 日付が変わるころ、うちの猫の悲しげな鳴き声で僕は玄関を開けた。
 うちの猫はすぐ近くにいるのに、入ってこない。
 ブウウン……と飛び回るカナブンを見上げて、動こうとしないのだった。

「でもカナブンはボスと関係ないですよね……」

「ウウーン」

「捕まえませんよ。速いし暗いし、無理です」

「ウーン」

「ボスはどうしたんですか……」

「フウン」

 この様子だと猫同士の交流をしているように見えたのも、気のせいだったのかもしれない。
 ドアに手をかけて、

「閉めちゃいますよ。いいんですねー」

 と言っても動かない。
 完全にカナブンに夢中だ。
 もうボスのことなんて頭の中にないに違いない。

 ――次にボスと会ったときは、いつもどおりパンチを喰らわすんでしょうね……。

 そう思いながら、僕はドアを閉めたのだった。

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小説家になろうに、猫のエッセイを投稿しています。
かわいいです。
うちのかわいいかわいい猫
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